りんてつのゆる記〜クルマと日々の思ひ出〜

クルマ好きとしてすくすく育った20代♂りんてつです。試乗インプレや日々のこと、ゆるーく記します。

【速報】BMW 420i 試乗インプレ

前回記事にした代車の318i返却時に、表題の420iの試乗の機会も得られました。

新型モデルに乗れるラッキーな機会です。お言葉に甘えて試乗させていただきましたので、記事にすることにしました!!

f:id:tohru_quattro-m19:20210502161050j:image

今回の試乗車は420i Msportです。FMCを経て2代目となった新生4シリーズのエントリーグレードのMsportモデルです。

エンジンは直列4気筒2.0ℓターボエンジンで、320iと同様のものです。3シリーズ4シリーズ共にMパフォーマンスモデルであるM340i並びにM440i以上のモデルを除く全てのモデルに、この4気筒2.0ℓターボエンジンが搭載されています。物悲しいような気もしますが、それだけ4気筒エンジンの性能が向上したという裏付けでもあるのだと思います。

また、トランスミッションBMWのFRモデル恒例となった8速トルコンATです。こちらも多くのモデルに採用されていることでブラッシュアップが進んでいます。

あまりにも大きいキドニーグリルが何かと話題を呼んでいるこの車両ですが、実際に乗ってみるとどうなのか楽しみな1台です。

 

〜インテリア〜

まずはインテリアから見ていきます。

全体的な印象はG20 3シリーズと同様です。つまり、多くの現行BMWが共有するデザインフィロソフィがこのモデルにも息づいているということです。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502162559j:image

先進性に舵を切りすぎた一部のメーカーとは異なり、多くの操作を物理ボタンに依存するスタイルを貫いています。この旧態依然としたスタイルは個人的には好みです。様々な操作をタッチパネルに集約するとスタイリッシュな外観を実現することは可能ですが、運転中のブラインド操作性は格段に悪化します。モーションセンサーを利用した操作方法も様々登場してはいますが、やはり物理ボタンを介してのブラインド操作性は重要なものだと、個人的には感じています。

ちなみにこれは3シリーズにも共通して言えることですが、エアコンの温度調整は現行型の上下のボタン式よりも先代までのダイヤル式の方が操作性が高かったように思います。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502163330j:image

4シータークーペとして気になるのは後席の居住性です。まず後席へのアプローチのために運転席を前に出すとこんな感じです。ちなみに後席へのアクセスのためにフロントシートを前に出すと、後席への入り口が最も大きくなるように電動で前方へ移動します。また、前に出したシートを元へ戻す操作をすると、前方への移動の直前にあった位置に戻るよう設定されているようです。これはラグジュアリークーペには少なからず搭載されている機能ですが、ドライバーにとっては非常に重要な装備かと思います。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502164145j:image

上の画像は後席乗車時のレッグスペースを写したものです。身長約170cmの自分がドライビングポジションを取った運転席の後ろです。長時間の乗車には難があるかもしれませんが、個人的には1時間程度なら耐えられるかなといったところです。シート自体は立体的な造形を持っており、ホールド性も高いのではないでしょうか。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502165129j:image

また、ドリンクホルダーを搭載したアームレストも装備されています。これは個人的には重要な装備です。乗員全員が快適に移動出来ることはクーペであっても大切な要素だと思っています。先代M4やM3では後席のアームレストが撤廃されていました。かなりの性能を持つハイパフォーマンスモデルとしての事情があるのでしょうが、今回の新型4シリーズへの装備は大歓迎です。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502165502j:image

また、後席専用のエアコン吹出口も用意されています。しかも先代4シリーズとは異なり、温度は数値を見ながら調整できますし、USB-Cのポートも装備されています。スマートフォンを多用する現代においては、後席の乗員にとって大切な装備と言えます。

後席のウィンドウは大きいとは言えず、閉塞感は否めませんが、実用性を無碍にしたとは言えない空間が用意されていると言えるでしょう。

 

 

〜エクステリア〜

さて、このモデルの一番の注目ポイントといえばエクステリアでしょう。縦長に大きく成長したキドニーグリルは世界を驚かせたものです。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502170103j:image

日本独特のナンバープレートの形状も相まってか、違和感は拭えません。

BMWによくある「写真で見るより実物の方が一層いい!」という感想は今回も共通でした。しかし、今回ばかりは個人的にはかっこいいとまでは思えませんでした…。やっぱりグリル大きすぎます…。

ですが、グリルにばかり注目が集まってしまいがちではあるものの、全体的なプロポーションは魅力的なものだと思います。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502170631j:image

特にリアからの眺めは個人的に好きなものです。テールランプの造形は立体的で、流れるような全体的なスタイリングも魅力的です。先代まではウエストラインをくっきりと強調するようにプレスラインが入っていましたが、今回のモデルでは3シリーズ同様プレスラインは撤廃されました。これは世界的な傾向のようですが、流麗な印象を強くする重要なポイントでしょう。

流麗なシルエットと、力強いさを強調する各部のバランスの如何については疑問符が残りはするものの、プレスラインのないサイドビューには魅力を感じます。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502172926j:image

近づいて観察すると、流麗なラインが作る陰影も美しく感じます。

f:id:tohru_quattro-m19:20210502173121j:image

大問題を抱えるフロントですが、このような角度なら魅力的に写るかなと思い、撮ってみました。クーペならではの低めに抑えられた全高、高めの位置に据えられた細いヘッドライト、大きなタイヤ、それらはやはり力強い印象を与えています。

そんな面に目をやってみると、大型化したキドニーグリルもデザインの一部として見られるような気もします。それでも、やはり簡単に馴染めるものだとは思えませんが…。

 

シルエット自体は好きなのですが、バランスには疑問符が残ります。しかし、刺さる人には正しくこれ以外の選択肢がない存在になるかもしれません。

先代にあたる5代目M139モデルのマセラティ クアトロポルテ然り、アンバランスなデザインは一部の人を虜にするのも事実です。誰にとっても美しいデザインを作るのも難しいことですが、ここまで挑戦的なデザインを市販するのもまた、簡単なことではないでしょう。

 

 

〜ドライビング〜

4シリーズは3シリーズのクーペ版といえる存在です。事実、E90時代までは3シリーズクーペという立ち位置で販売されていました。つまり、母体は3シリーズと共有されています。

事実、ドライビングフィールはG20 3シリーズに酷似しているように感じられました。先代の3シリーズと4シリーズよりも、よりそのフィールはに通っているように感じます。

f:id:tohru_quattro-m19:20210504184209j:image

その中でもやはり明確に違いを感じられるポイントもあります。

まず第一に挙げられるのが剛性感です。ドアの枚数が少なくなる、開口部の合計面積が小さくなるというのは偉大なことです。G20でもかなりの剛性が感じられましたが、こちらは明らかにその上を行っています。市街地走行では私には感じられませんでしたが、ワインディングに入ると手に取るように感じられます。特に、コーナリング中に路面からの大きな入力を受けた際に、ボディが一切のねじれなくその入力を受け止めてくれます。剛性の重要性を強く感じられるシーンでした。

また、エンジン出力と姿勢制御のセッティングが異なるようにも感じられました。

静止状態から90度直角コーナーの立ち上がりで強くアクセルを踏み込むと(スポーツモード)、一瞬のホイールスピンを許容してくれます。もちろん一瞬のことなので姿勢を乱すようなことはありません。その安全の中でより強い刺激を与えてくれるのです。これは320iには見られない味付けでした。

4シリーズは3シリーズよりも趣向性の高い乗り物です。あえて4シリーズを選択するオーナーが求めるものを提供しようとした結果なのでしょう。正直日常域ではほぼ出くわすことのない状況なので、実用上の差は大きく生じないかもしれません。しかしこういった細かい部分を突き詰めることはドライビングプレジャーの追及において重要です。また、私が今回の試乗では感じられなかった部分においてもこのような細かい気配りや徹底的な追及があるのではと感じました。

f:id:tohru_quattro-m19:20210504185930j:image

パワー感は、420iなので必要十分+αといった感想です。もちろん速いのは間違いないのですが、今は他の輸入車メーカーはもちろん、国産車でもパワーのあるクルマは多く存在します。それに上を見ればM440iも、M4も存在するという立場ですので、必要十分+αと表現させていただきました。

直前まで318iの運転時間が長い状態でしたので、その分速く感じた部分もあるかもしれません。

全体的な印象は、やはり3シリーズに酷似しています。3シリーズの走行性能が格段に向上した結果、4シリーズとの差が小さくなってしまったというのが事実でしょう。

私個人としては、この差異であれば、より実用性が高く価格の安い3シリーズを選択するのではないかと、感じてしまいました。もちろん今回の試乗の範囲ではの話ですが。

 

 

〜総評〜

直前にも書きましたが、今回の試乗では3シリーズとの性能差があまり感じられませんでした。検討すると仮定すると、この性能差よりも実用性や価格を重視して3シリーズを選択すると思います。

しかし、より高性能なM340iとM440iでの比較となると、その差は大きくなるのかもしれません。よりパワーのあるモデルでは速度が上がり、xDriveモデルとなることでコーナリング速度も向上します。そうなるとよりシャシー性能や剛性の違いが大きく感じられるようになると想像できるからです。

4シリーズの真価は、ハイパワーモデルで感じられるものなのかもしれません。試乗の機会があれば、しっかり体感して見たいところです。

 

インテリア :★★★★☆

エクステリア:★★☆☆☆

ドライビング:★★★★★

実用性   :★★★☆☆

コスパ   :★★★☆☆

総合評価  :3.4点/5点満点