【速報】BMW M235i グランクーペ xDrive 試乗インプレ
今回はM235iグランクーペの試乗車が入るとのことで、予約を入れて試乗に伺ってきました。
ちなみにこの新型コロナウィルスの混乱の最中ですが、試乗車入庫のアナウンスをごく一部のカスタマーに限定することで三密を防止し、感染拡大を起こさぬよう注意しているとのことでした。事実、入店時には他のお客様はおらず、試乗から戻っても他のお客様は1組のみでした。また、店内でのドリンクサービスを中止しており、全ての試乗車と展示車には「○月○日消毒済」のカードが置いてあり、感染の防止に努めているようでした。
このような工夫をしているという前情報を前提に訪問し、客数が増加したタイミングで退店してきました。批判的な見方もあるかとは思いますが、安全への配慮を確認した上での訪問です。希少な機会ということもあり、ご理解の上で以下の記事をお読みいただけますと幸いです。
さて、本題に入ります。
今回の試乗車はM235i グランクーペxDriveです。
新たなセグメントのコンパクト4ドアクーペとして誕生した2シリーズグランクーペの最上級スポーツモデルです。
エンジンは直列4気筒2.0ℓターボ、トランスミッションは8速トルコンAT、駆動方式はAWDです。
〜インテリア〜
完全な新型モデルとなる2シリーズグランクーペですが、インテリアはベースとなった1シリーズと共通といっていいでしょう。記事にしていないのですが、1シリーズにも試乗した経験があり、その時と印象は変わりませんでした。
ラグジュアリーとは離れていますが、質感は価格帯的に上々です。新世代BMWのDNAを色濃く感じさせるデザインで、好印象です。また、BMWらしく世代が変わっても操作系は大きくは変わらず、操作面で困惑することはありません。
ハイラインPKGを選択してもベージュやブラウンのシートカラーを選択することができないのは個人的に残念なポイントですが、コスト面を考えても、車両のキャラクターを考えても、妥当な設定なのかも知れません。
新世代デザインのシフトノブやiDrive関係を見る限り、上位FRモデルとの大きな差別化はなく、年々肥大していく上位モデルからの乗り換え需要も想定している感が伺えます。メーターも全面ディスプレイ形式を採用しており、先代上位モデルにあたるF30よりも充実した装備といえるでしょう。
後席に座ってみると、窮屈さは感じません。膝前にもスペースを確保することはできます。ただし、フロントシートの位置にもよりますが。感覚的にはE46やE90の3シリーズと似ているでしょうか。広いとは言えませんが、大人4人でのドライブにも耐えうるでしょう。横方向の余裕はないものの、後席でもサポートは効いており、座り心地は十分です。また、走り出しても快適性はそこそこにあり、ロングドライブも想定しているものと思われます。細かい入力も逃しはしないものの、不快感は小さく、コンパクトセグメントとしては上出来ではないでしょうか。
しかし、この後M340iにも試乗しましたが、その差は圧倒的でした。M340iについては別で記事にしますが、単体としては価値があるとは思うものの、快適性はセグメントを超えられないものと実感したところがあります。
また、後席に限って言えば、閉塞感は否めません。ご覧の通りグラスエリアは小さく、ウィンドウの底辺も高く設計されているので、そういった意味での快適性は高くありません。同セグメントのCLAにもこの傾向はあり、スタイリングと安全性の両立を考えると仕方のないことだとは思いますが、検討する際には確認した方が良いでしょう。
また、リアウィンドウは寝ており、後方視界も良好とは言えません。実際に運転してみるとそんなに気にはなりませんでしたが、女性が運転する場合などでは注意した方がいいかも知れません。ただし、実際に運転して確認するのが賢明です。運転してみるとそこまで気にはなりませんので、目視での確認のみで済ませるのは賢明とは言えません。
〜エイクステリア〜
エクステリアは見ての通りアグレッシブです。4ドアクーペをこのサイズで完成させるためにはかなりの困難があったことを感じさせます。フロントは流麗さを欠いており、人によっては評価が分かれるところでしょう。実際に見ると写真よりも印象はよく、個人的には納得できるデザインですが、2代目となったCLAには溝を開けられているというのが実情ではないでしょうか。
リアセクションのデザインは個人的に魅力的に感じています。力強さを備えていると共に、左右を貫くラインが印象的です。また、M235iはハイパフォーマンスモデルということもあり、リアスポイラーを装着しています。トランクスポイラーの形式でそこまで目立つわけではありませんが、よく見ると凝ったデザインで、この存在はデザイン上大きいのではないかと思います。逆にこれがない通常モデルでは流麗なデザインに映るのかも知れません。
新たにラインナップするモデルのデザインには困難が付随するのが当然の事です。コンパクト4ドアクーペとして難しいセグメントに飛び込んだわけですが、BMWらしい挑戦的な姿勢は今後の改良を期待させるものです。メルセデスCLAがそうであったように、モデルチェンジで更なる飛躍を見せてくれるのではないのかと期待しています。
〜ドライビング〜
ようやく、インプレッションです。
改めて紹介しますが、エンジンは直列4気筒2.0ℓターボエンジン、トランスミッションは8速スポーツトルコンAT、駆動方式はAWDです。ご覧の通り小さなエンジンですが、Mパフォーマンスの文字が輝くように、期待を上回るパワーを発揮してくれます。アクセルを踏み込むと軽快に加速していきます。AWDの駆動方式と相まって、ゼロ加速も上々です。というか、かなり速いです。さらにシフトアップがかなり軽快で、その様はまるでバイクのようと言っても過言ではないかも知れません。その味付けがさらに全体的な軽快感を加速させています。
また、足回りは想像よりもしなやかで、案外乗りやすい印象です。アダプティブサスペンションに前後とも225/40 18というタイヤ・ホイールの装備ですが、ガチガチな印象はなく、硬いながらもしなやかさを残した足回りです。ただし、バタつく時にはバタつきます。特に、強めのブレーキングでシフトダウンと路面からの入力が重なるタイミングでは不快感を受けました。これはそんなに稀なケースではなく、試乗中に数回感じましたので、検討の際には必ず試乗をお勧めします。
また、全体的に味付けは「やんちゃ気味」です。小さくて軽くて、速くて軽快。こう書けばいいように思えますが、挙動は全体的に落ち着きがないのも事実です。直後に試乗したM340iと比較してしまっているのが悪いところもありますが、路面が悪いところだと落ち着きを欠き、ステアリングへの雑味も多くなります。
ここまで否定的な意見によってしまっていますが、全体的には良くできた車両かと思います。
AWDの特長である安定感を伴いつつも、ベースであるFF感はなく、ニュートラルなコーナリングを実現しています。エンジンは元気でどこからでも必要なパワーを取り出せます。加速にも減速にも全体的には安定感があり、ピーキーで元気なフィーリングを味わいながらも安心感を伴って走れます。しかし、やはり否定出来ないのが「地に足ついていない感」です。この言葉は、同乗した母の言葉を借りた物ですが、加速時も減速時もシュアな感覚は少し希薄です。もう少し踏ん張り感が欲しいところです。
大人のスポーツというよりは、若々しいやんちゃなパフォーマンスといった感じです。何度も言いますが、直後にM340iに乗ってしまったのが良くなかったですね…
〜総評〜
元気でやんちゃに走れる一面を持ちつつ、大人4人でロングドライブを楽しめる車、排気量も2ℓクラスで燃費も自動車税も経済的で好バランスな車です。
スタイリングも若々しく、Cセグメントでありながら独立したトランクを持つボディ形式は、大きな需要があると言えるでしょう。メルセデスはCLAクラスに加えてAクラスセダンをラインナップしており、アウディにもA3セダンがあります。ようやくこのセグメントにBMWが追いついたという感があります。
しかし、M 235iについて言えば、CLA35AMGにS3セダンと群雄割拠のこのセグメント、ここからのブラッシュアップは必至ということはBMWも承知のことと思われます。改良が得意なBMW、ここからの展開が楽しみです。
インテリア :★★★★☆
エクステリア:★★★☆☆
ドライビング:★★★☆☆
実用性 :★★★★☆
コスパ :★★☆☆☆
総合評価 :3.2点/5点満点